あの歌声。
絶対に忘れない。
唄を聴かせて 2
「え・・・・?」
『君はいつも輝いてた 笑顔一つ小さな星 大切にしてたよ』
「・・・・・・・・・この、歌・・・・・・」
CDじゃなく、TVじゃなく、直接耳に届く。
『あの日僕は守れなくて 悔し涙堪えただけ 痛みが残るよ』
ぽろぽろと涙が零れ落ちる。そして強引にばっと振り返ると、今までずっと想っていた人がいた。
「せいっ・・・・」
名前を呼ぼうとしたが、星野は人差し指でうさぎの唇をそっと塞ぐ。
そして、瞳から流れ落ちる涙を指で拭いながら苦笑した。
『Search for your love 空の水晶
Search for your love 泣かないでくれ
Search for your love 本当は抱きしめたいのさ』
毎日のように聴いていた歌が、今こうして直接耳に入ってくる。
そしてぼろぼろと涙を流すと、目の前の人物がふっと笑った。
「・・・・ただいま。泣き虫おだんご」
「せいやっ・・・!!」
うさぎは星野の腕の中に飛び込む。
しかし、あまりの嬉しさのせいで、今時分がブランコに乗っていることを忘れ、ぐらっとバランスを
崩した。
「うわっ・・・!」
「きゃっ・・・・!」
そのままブランコから落ち、どさっと尻餅をつく。最も、うさぎを抱えたまま痛い思いをした
のは星野だけだが。
「いって・・・・・・・おいこら、おだんご!何すんだよ」
「ご、ごめんっ、大丈夫!?」
うさぎは慌てて謝る。素直に謝られたので、星野は少し拍子抜けして、目をぱちくりさせる。
しかし、今の状態に気づいて、少し赤くなってポリポリと頬をかいた。
「あのさぁ・・・・おだんご」
「な、なに?どっか痛いトコあるの?」
「いや、痛いトコはぶつけたトコ全部だけど・・・・・それよりさ」
「え?」
「・・・・・・・・・どいてくんねぇ?」
星野に小さく呟かれ、うさぎはきょとんと目を丸くする。そしてゆっくりと下を向くと、自分が星野を
押し倒しているような状態になっていて、かああっと一気に真っ赤になった。
「きゃあああっ!!!!//////」
「うわぁっ!」
どーんっと星野を思い切り突き飛ばす。
いきなり突き飛ばされたので、星野は勢いよく飛ばされた。
「お、お前な・・・・」
「だ、だってだってだって!!」
「あー、もういい。分かったから落ち着け」
「ふ、ふぇぇ・・・・・」
まだおろおろと落ち着かないうさぎを見て、星野は軽くため息をつく。そして体を起こすとうさぎの両
方の頬をぺちんっと叩いた。勿論、痛くない程度にだ。
「あ・・・・・・・」
「落ち着いたか?」
少し呆れたような顔をする星野を見て、うさぎはぽかんとした顔をする。
その顔を見て、星野はぷっと噴出し、可笑しそうに笑い出した。
「な、なによぉ!」
「い、いや、だってお前めちゃくちゃ間抜け顔・・・・ぷっ、あははっ!」
「せ、星野、あんたねぇ!!」
「いてっ、いててっ、痛いっておだんご!」
うさぎはポカポカと星夜を叩く。星夜は思わずうさぎの手首を取った。
その時我に帰ってうさぎははっと星野を見上げる。そして至近距離に星野の顔があって一気に顔を
赤くして、ばっと離れた。
慌てて離れたうさぎを見て星野は少しきょとんとしたが、すぐにふっと笑ってパンパンと服をはたき
ながら立ち上がった。
「ところでさぁ、おだんご」
「な、なに?」
「俺、まだ聞いてないんだけど」
「へっ?な・・・・なにを?」
うさぎがきょとんとすると、星野はふっと笑って人差し指でうさぎの額をつついた。
「俺はただいまって言ったんだけど?なんも言うことなし?」
星野にいわれて、うさぎはハッとする。
確かに先ほど、星野は確かに言った。
ただいま、と。
うさぎは嬉しくなって、笑顔を見せた。
「お帰り、星野!」
「ただいま、おだんご」
2
「でも、ホントにびっくりしたよ。いきなりいるんだもん」
「わりぃわりぃ。ホントはこんな時間だし、明日にしようと思ったんだ。でも、どうしても早く会いたくってさ。おだ
んごの家に行く途中だったんだ。そしたら公園にお前がいるからさ。つい声かけちまった」
早く会いたかった
その言葉に、うさぎは顔を赤くする。
「そ・・・・そっか。あ、そういえば他の二人は?それに、プリンセス・・・・」
「ちゃんといるぜ。勿論プリンセスもな」
「え、ホント?」
「ああ」
「でも、こんなに早く・・・・一体あの後何があったの?」
「ん〜・・・・話せば長くなるんだけど・・・・まぁ、簡単に言うとさ。俺たちの新しい星は見つけたんだけど、そこが
住めるような環境になるまで地球時間で最低でも2年はかかるってことが分かったんだ」
「え・・・住めるようにって?」
「今は人が住めるような状態の星じゃないってこと。でも、数年したら自然の影響ですげー綺麗な星になるみたい
でさ。それならその間地球で暮らしたらいいんじゃないかって言うプリンセスの案で、ここに来たんだ」
「そうだったの・・・・」
なるほど、とうさぎは納得したように頷いた。
すると、ぴた、と星野の足が止まる。うさぎは数歩歩いてそれに気づいて、うさぎも足を止めて振り向いた。
「星野?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・どしたの?」
急に黙り込んだ星野を見て不思議に思い、うさぎは首をかしげた。
「・・・・・・・あのさ。俺、またおだんごに会うことが出来たら、どうしても言いたいことがあったんだ」
「え・・・?」
うさぎは目を見開く。星野の目は真剣で、うさぎは目を逸らせなかった。
「せい・・・・・・」
「おだんご・・・・・・俺・・・・・・・・」
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